ご挨拶
この度は、大盛況であった初回「創工会×和中庵in 鹿ヶ谷」に引き続き、第2回の同展覧会が、ここノートルダム女学院中学高等学校、和中庵で開催される運びとなりました。今年も各界で世界的に活躍されているアーティストの方々の方々が一堂に会されるという得難い機会が本庵で展開されますことを、心から嬉しく、また有難く存じます。この建造物は、対象の息吹が残る近江商人のお屋敷から、戦後まもなくして米国から来日されたカトリックのシスターたちの修道院へと類稀な変容を遂げた建物として、さまざまな人々によって愛されてきたノートルダム女学院の宝であります。そこに今回、陶芸、染織、漆芸、ガラス、金石、人形、金工、木工という多様なアートが出会い、まるで宇宙の壮大で繊細な美しさを投影したかのような空間に皆様をお迎えできる幸せを感じております。深まる秋を抱く鹿ヶ谷の静けさの中で、どうぞごゆっくりと充実した一時をお過ごしくださいませ。
ノートルダム女学院 学院長 栗本 嘉子
京都の長い歴史や思想に育まれた工芸美術の伝統と革新を踏まえて、作家個々の新しい発想や創意を尊重し次代の工芸美術をリードする組織体として、工芸美術創工会は新たな試みや研究の成果を世に発信して参りました。 創工会は公共の美術館での発表が殆どでしたが、鹿ヶ谷の静寂にたたずむ歴史的邸宅建築である和中庵の空間に工芸美術作品を展示することにより、作品と空間が互いに響き合い、日本人が昔から持っている美意識を体現する場が創出されました。本展開催のためにご尽力賜りましたノートルダム女学院・(公財)伊賀市文化都市協会の関係各位に心から感謝申し上げます。 柔らかな秋の日差しの中、ご高覧下さいます様お願い申し上げます。
工芸美術 創工会会長 髙坂 嘉津幸
和中庵について
「和中庵」は日本の化学繊維市場の礎を築いたパイオニアの一人近江商人・藤井 彦四郎が贅を尽くし、粋を凝らして建てた鹿ヶ谷の山裾の林を開拓した広大な庭園を持つ邸宅で、昭和24年(1949年)にノートルダム教育修道女会が取得。修道院として改造、利用した後、平成20年(2008年)にノートルダム女学院中学高等学校に移管されました。
本邸は彦四郎の友、漢学者長尾雨山により、「何事にも偏らず公平に」をモットーとして「和中庵」と命名されました。山裾を切り開いたこともあり、和中庵から西に広がる眺めは絶品で、それにもまして東山から流れ出る水は清らかで絶えることがありません。大きな茶室の横にはこの地域の桜谷町の名前の由来になった、桜の野生種エドヒガン(江戸彼岸)の大木が かつては毎春 美しい花を咲かせていました。
正面の洋館部分はスパニッシュを基調とした建築で、寄木細工の床や天井の装飾が美しく、又渡り廊下でつながれた奥座敷(書院造の客殿)には、欄間や床の天井などに数寄屋風の意匠も取り入れられ、彦四郎自身が設計に関わり、造りあげた見事な建築です。
〒603-8123 京都市左京区鹿ケ谷桜谷町110
(Google Map)
TEL:075-771-0570(代)
FAX:075-752-1087
創工会について
工芸美術創工会は1987年(昭和62年)に京都を中心とする関西・中国地区在住の工芸作家により結成されました。
平成元年(1989年)に京都府京都文化博物館の開館と時を同じくして第1回展を開催し、以後、京都の長い歴史や思想に育まれた工芸美術の伝統と革新を踏まえて、作家個々の新しい発想や創意を尊重し次代の工芸美術をリードする自由でリベラルな創作工芸美術集団として毎年発表を続けて参りました。
結成以来、日展をはじめ全国の公募展に多くの入選者、受賞者、審査員を排出し、近年は文化勲章受章者、文化功労者、日本藝術院会員、日本藝術院賞受賞者、内閣総理大臣賞受賞者、文部科学大臣賞受賞者、京都府文化功労者顕彰者、京都市文化功労者表彰者を輩出しています。
わが国の工芸は、日本の自然を感じる精神や風土に磨かれた美意識によって世界に誇る独自の発展を遂げて参りました。その長い時間をかけて築き上げられた創造の蓄積である伝統に我々が新たな創造を加え、人の心の根源的なものに訴えかける作品を発信し、今後も地域の芸術文化の発展と振興に寄与すべく活発な活動を続けて参ります。