わん碗ONEについて

About

京都やきものWeek「わん碗ONE」は、清水焼発祥の地である五条坂・茶わん坂の町おこしプロジェクトの一環として開催されたイベントです。主催は、有名作家・やきもの販売店等の協力のもと設立された「五条坂・茶わん坂ネットワーク」です。

イベントの開催場所は五条坂・茶わん坂の地域だけではなく、京都市内一円の会場で、特別展示やシンポジウム、講演会、お茶会等、皆様に楽しんで頂けるようなイベントをたくさんご用意致しております。

 

 

ご挨拶

 平素より五条坂茶わん坂ネットワークの活動にご支援を賜り厚く御礼申し上げます。今年はコロナの影響で各種イベントが止むなく中止となりメインの「わん碗ONE展」のみの開催となりましたが実物の展示と共にWebでの発信や図録の作成等、未来に繋がる新しい試みに挑戦致しました。行政や協賛の方々のお力添えによるものと感謝しています。節目となる来年の第10回展に向けてより一層のご指導、ご協力をお願い申し上げます。

五条坂茶わん坂 山田東哉

 

 

 

 

 

「わん碗ONE展」— 現代京焼作家の「今」
中ノ堂一信

 茶碗の原点は8世紀の中国唐時代に作られていた青磁茶碗、白磁茶碗などにある。中国で喫茶の習慣が全国的に広がった時期とも一致する。その頃の茶碗の形状は平碗系、すなわち口縁部が外に開く端反り型の形状をしており、以来中国の茶碗(唐物茶碗)はこの平碗系を宋時代の天目茶碗、明時代の染付茶碗、色絵茶碗,色釉茶碗でも継承してきた。また、その傾向は朝鮮半島で作られた茶碗(高麗物茶碗)の高麗青磁茶碗、井戸茶碗、三島茶碗、刷毛目茶碗などにも反映されている。

 これに対し安土桃山時代に日本で作られ始めたのが胴部分を垂直に立ち上がらせた筒型の形状の茶碗であった。美濃地方の黄瀬戸茶碗、瀬戸黒茶碗などにその作例がある。また京都で千利休の好みとして誕生した楽茶碗も筒型を基本として、高台から腰は手取りの良い碗形の形状を見せる半筒型の形状の茶碗が制作された。この筒型や半筒型の茶碗は従来の唐物茶碗、高麗物茶碗にはまったくなかった新規の茶碗であった。

 こうした東アジアにおける平碗系と筒型・半筒型系の形状は、日本において混在、融合化され、日本的筒型・半筒型の形状もその後の朝鮮半島の御本手茶碗、呉器手茶碗や中国の古染付茶碗、祥瑞茶碗などに取り入れられて、茶碗の基本形として時代を超えて21世紀の現代にまで継承されてきた。

 <形>を主眼に茶碗の歩みを見てきたが、この度の「わん碗ONE展」でも平碗系、筒型系、半筒型系などの形状をもった茶碗や盃がそれぞれ独自の色彩美、模様美を発揮して出品されている。しかも個々の出品作品を通観すると白磁、青磁、鉄釉、天目、鈞窯、染付、色絵、金彩、銀彩、井戸、刷毛目、御本手、楽、白釉陶、青釉陶などの実に多彩な陶技釉法が駆使されたものをみることが出来る。その作風の多彩さ、そしてそのなかで共通する洗練された造形センス、色絵の文様などのみやびな印象はさすがに京都ならではの陶芸の展観という感想を抱く。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の時期下ではあるが、100人余の陶芸家の作品を一堂に集めた今回の展示によって、私たちはコロナ禍にあっても意欲に満ちた作陶を続け、明日への希望に繋げていく現代京焼作家の今日的状況を知ることができることと思う。

(京都芸術大学名誉教授、五条坂・茶わん坂ネットワーク:アドバイザー)