わん碗ONEについて

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わん碗ONEについて

京都やきものWeek「わん碗ONE」は、清水焼発祥の地である五条坂・茶わん坂の町おこしプロジェクトの一環として開催されたイベントです。主催は、有名作家・やきもの販売店等の協力のもと設立された「五条坂・茶わん坂ネットワーク」です。

イベントの開催場所は五条坂・茶わん坂の地域だけではなく、京都市内一円の会場で、特別展示やシンポジウム、講演会、お茶会等、皆様に楽しんで頂けるようなイベントをたくさんご用意致しております。

 

 ご挨拶

 平素より五条坂茶わん坂ネットワークの活動にご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 昨年のコロナ禍においては、京都府の補助金対象の事業として採択をいただき、幸いにも「第9回わん碗ONE展」を開催させていただくことが出来、リアル展示会( 於、東五六 )とともにWebサイトでのヴァーチャル展示と更に図録の作制など未来に繋がる新しい試みに挑戦出来たことは、大いに私どもにとって励みになりました。

 本年の第10回目の開催につきましては、第5波の感染拡大もあり、なかなか先行きが見通せない中、感染者数の減少傾向が見えてきた頃のぎりぎりのタイミングで、開催を決定するに至りました。

 しかしながら、次の第6波を警戒しながらの開催ということに対して、出来る限りの注意を払いつつ、地域の活性化と文化の発信という目的に沿った活動を何としても継続したいという、関係各位の熱い思いに依り、事業内容もそれなりにコンパクトな形で実行しようということになりました。

 メインの「お茶碗・わん碗ONE展」(於、東五六)をはじめ「活け花・登り窯にいける」(五条坂京焼登り窯)、「酒器ぐい呑・おちょこ展」(陶点睛かわさき)、「飯碗・Ocha-Wan展」(紅村ギャラリー)、「お茶碗・開睛茶道部茶碗展」(紅村ギャラリー)を第10回京都やきものWeekとして開催に漕ぎつけることが出来ました。

 尚、これらの事業は11月に実施していますが、メインのわん碗ONE展には今年も110点即ち110人の陶芸家の方々より出品をいただきました。これらの作品はリアル展示会(11月1日~30日)が終わりました後も、引き続き昨年と同様Webサイトでの通販事業という形で事業を継続して参ります。

 まだまだコロナ禍の終息が見えない中、明るい未来を信じつつ、誇りある京都の焼きもの文化の発信を通して、地域の活性化とともに次の文化の担い手に繋げていけることを願って止みません。 行政関係各位、後援ならびに協賛を頂いている各位、そして様々な形でご支援ご協力を頂いている皆々への引き続いてのバックアップを切にお願い申し上げますとともに、先ずは「第10回わん碗ONE展」開催へのご支援、ご協力を頂きました全ての方々に衷心よりの御礼を申し上げます。

五条坂茶わん坂 山田東哉

 

「わん碗ONE展」— 現代京焼作家の「今」

中ノ堂一信

 茶碗の原点は8世紀の中国唐時代に作られていた青磁茶碗、白磁茶碗などにある。中国で喫茶の習慣が全国的に広がった時期とも一致する。その頃の茶碗の形状は平碗系、すなわち口縁部が外に開く端反り型の形状をしており、以来中国の茶碗(唐物茶碗)はこの平碗系を宋時代の天目茶碗、明時代の染付茶碗、色絵茶碗,色釉茶碗でも継承してきた。また、その傾向は朝鮮半島で作られた茶碗(高麗物茶碗)の高麗青磁茶碗、井戸茶碗、三島茶碗、刷毛目茶碗などにも反映されている。

 これに対し安土桃山時代に日本で作られ始めたのが胴部分を垂直に立ち上がらせた筒型の形状の茶碗であった。美濃地方の黄瀬戸茶碗、瀬戸黒茶碗などにその作例がある。また京都で千利休の好みとして誕生した楽茶碗も筒型を基本として、高台から腰は手取りの良い碗形の形状を見せる半筒型の形状の茶碗が制作された。この筒型や半筒型の茶碗は従来の唐物茶碗、高麗物茶碗にはまったくなかった新規の茶碗であった。

 これに対し安土桃山時代に日本で作られ始めたのが胴部分を垂直に立ち上がらせた筒型の形状の茶碗であった。美濃地方の黄瀬戸茶碗瀬戸黒茶碗などにその作例がある。また京都で千利休の好みとして誕生した楽茶碗も筒型を基本として、高台から腰は手取りの良い碗形の形状を見せる半筒型の形状の茶碗が制作された。この筒型や半筒型の茶碗は従来の唐物茶碗、高麗物茶碗にはまったくなかった新規の茶碗であった。

 こうした東アジアにおける平碗系と筒型・半筒型系の形状は、日本において混在、融合化され、日本的筒型・半筒型の形状もその後の朝鮮半島の御本手茶碗、呉器手茶碗や中国の古染付茶碗、祥瑞茶碗などに取り入れられて、茶碗の基本形として時代を超えて21世紀の現代にまで継承されてきた。

 <形>を主眼に茶碗の歩みを見てきたが、この度の「わん碗ONE展」でも平碗系、筒型系、半筒型系などの形状をもった茶碗や盃がそれぞれ独自の色彩美、模様美を発揮して出品されている。しかも個々の出品作品を通観すると白磁、青磁、鉄釉、天目、鈞窯、染付、色絵、金彩、銀彩、井戸、刷毛目、御本手、楽、白釉陶、青釉陶などの実に多彩な陶技釉法が駆使されたものをみることが出来る。その作風の多彩さ、そしてそのなかで共通する洗練された造形センス、色絵の文様などのみやびな印象はさすがに京都ならではの陶芸の展観という感想を抱く。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の時期下ではあるが、100人余の陶芸家の作品を一堂に集めた今回の展示によって、私たちはコロナ禍にあっても意欲に満ちた作陶を続け、明日への希望に繋げていく現代京焼作家の今日的状況を知ることができることと思う。

(京都芸術大学名誉教授、五条坂・茶わん坂ネットワーク:アドバイザー)